相続?なにそれ、おいしいの? 39.犬神家の相続欠格

|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。




 シリーズの33.~36.までは、「相続的協同関係の破壊」という考え方から、実際の「相続廃除」のハードル、廃除後の代襲相続について解説してきました。


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相続?なにそれ、おいしいの? 33.犬神家の相続廃除・・・その参(相続的協同関係の破壊法理) - はてなから引越し作業中~行政書士sukekiyo-kunの家族法など(仮)
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相続?なにそれ、おいしいの? 34.犬神家の相続廃除・・・その四(相続的協同関係の破壊法理②実子の相続廃除前編) - はてなから引越し作業中~行政書士sukekiyo-kunの家族法など(仮)
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相続?なにそれ、おいしいの? 35.犬神家の相続廃除・・・その伍(相続的協同関係の破壊法理③実子の相続廃除後編) - はてなから引越し作業中~行政書士sukekiyo-kunの家族法など(仮)
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相続?なにそれ、おいしいの? 36.犬神家の相続廃除・・・その六(廃除された者の代襲相続者) - はてなから引越し作業中~行政書士sukekiyo-kunの家族法など(仮)




 今日は「相続廃除」よりも更に重い。最も悪質で「罪状?」の重い「相続欠格」について解説してみたいと思います。よく「相続廃除は難しい」と言われていますが、「欠格」については、ある程度基準が明確でわかりやすいという性質があるようです。
 「廃除」も「欠格」も、ある相続人からその立場を剥奪するという効果は同じなのですが、「欠格」の該当基準はどうなっているのか、条文をみてみましょう。



民法891条:次に掲げるものは、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者。
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りではない。
三 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者。
四 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、取り消させ、又は変更させた者。
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者。


かなり長めの条文ですが、まとめると
①先順位の相続人。例えばいついかなる時も相続人になれる配偶者(第0位)、これを(第1位)の直系卑属(子・孫)が殺害または、計画して未遂に終わったような場合。刑が確定次第、相続欠格となり、相続人の地位が剥奪されます。ちなみに「是非の弁別がない」というのは、認知症などで事理弁識能力がない時等が考えられます。
②犯人を知っていても、これを告訴・告発しなかった者。なお、犯人のごく近い近親者が告訴・告発をためらった場合は、若干の温情措置があるということですか? 実際のところは、殺害や未遂が発生した段階で、すぐに警察の介入があるのが普通であるため、この二の規定は「あまり意味がない」とする説もあります。
③④⑤悪質かつ不当な手段で遺言作成や保管、公開に介入した者。



 ・・・ざっくりとこんな感じですかね。いずれも「廃除」よりもかなり悪質な行為なのですが驚くなかれ! こんな場合にも、欠格で相続資格を失った者に代わって代襲相続が出来るということです。「欠格になった奴は悪いけど、その代襲者には罪はない」という思想なんですね。



 いずれにしても、「火曜サスペンス」や「土曜ワイド劇場」に出てきがちなシチュエーションは、ほとんど「アウト」となりそうですね。とはいえ・・・・・・①のシチュエーションは少し微妙です。
 それは、明確な故意(殺意)が認められない場合です。たとえば遺産分割をめぐって感情的に対立し、双方もみ合い。もみ合いのすえに突き飛ばした拍子に、相手が棚の上の鈍器で頭を打って死亡した・・・ような場合です。
 これも「二時間ドラマ」ではありがちなシチュエーションですが、この場合、故意性はなく突発的・偶発的という扱いで891条の一は適用されないのか? 人道的にはこういう場合も欠格にするべき。という意見も聞こえてきそうですがさて?




これはちょっと研究の余地がありそうです。おそらく刑法あたりも絡んでくるだけに厄介です。時間があればまた検証してみたいと思います。



ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!