すっきりわかる家族法道場 19. 離婚いきなり裁判はダメ。あと偽装離婚の話も。


|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。



 本日は離婚の手順について。よくドラマで見かけませんか? こういう光景。
「これに判を突いて区役所に出しといてちょうだい・・・」と離婚届。緑の文字のあの紙切れを突き付ける・・・。半分は記入押印済みで、相手の部分は空白になっています。


 あとは相手が記入押印して役所に提出。シンプルに言えばこれで手続きは完了です。よってドラマのこの光景は正しい。最後は夫婦のどちらかが単独で役所に出向き提出するのもOKとなっています。
 ところがしかし、相手が書くはずの欄が記入済みだったり押印済みだった場合、制作スタッフがリアリティを疎かにしている可能性があります。今後そういう視点でドラマを見るのも面白いのではないかと思います。



 ちなみに、勝手に記入した場合でも現実的には同一筆跡ということでバレますし、離婚も無効とされ、最悪「文書偽造罪」に問われる可能性があるので絶対にやらないでください。
あとありそうなのは・・・第三者に依頼して筆跡が違うように見せかけるケース。これも当然「文書偽造罪」ですが、いずれにせよ「離婚届が受理されましたよ」という通知が後で届くのでその時に発覚します。



 「やられた!」と思ったら「離婚届等不受理申出」が出来ますので、覚えておいて損はないと思います。
 このように、双方同意のもとで離婚を成立させるのは「協議離婚」といいます。そして意見の対立があるような、ちょっとエグいバージョンとして「調停離婚」があります。この場合は家庭裁判所の介入のもとで調停。いわゆる離婚調停が行われます。
 ここでも決着がつかないという、さらにエグいバージョンにアップした場合は、同じく家裁の介入のもと「審判離婚」となります。それでも決着がつかない泥仕合になった場合はいよいよ「裁判離婚」です。


つまり、
協議(同意)→調停(双方の言い分を調整)→審判(家裁の公平な裁量による判断)→裁判(徹底交戦かつ最終決戦)という流れになります。
 


 このように手順が決められており、相手が大嫌い、憎いからと言っていきなり裁判に打って出ることは許されておらず、(協議不成立を前提に)必ず調停を受けてからでないと裁判には持ち込めないということになっています。


 ・・・・・・それから、偽装離婚についてもちょっと触れておきましょうかね。まず借金王の夫が居たと仮定します。このままでは債権者に全部むしり取られてスッカラカン。それを避けるために、奥さんにほとんどの財産を分与してから離婚するというケース。離婚に名を借りた「財産隠し」とも言えます。こんな場合でも一応離婚自体は成立することにはなるのですが・・・ところが、常識的には離婚時の財産分与は原則双方1:1の半々。これをはるかに超えるような、例えば全財産を妻に分与・・・などというケースになると、これは債権者に対する「詐害行為(民法424条1項)」と見做され取り消しの対象となる可能性があります。



民法424条1項・・・債権者は債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下のこの款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかった時は、この限りではない。



 あとは、どうしても夫婦別姓がやりたい人たち。離婚届けを出しておいて内縁の夫婦関係に移行することも考えられます。この場合も離婚は一応成立。以後、内縁婚に移行するものと解釈されることになるようです。
 ただし、内縁婚の場合は法定相続分がなく、財産を遺そうと思えば遺言でもって遺贈するしか方法がなくなるなど、何かと不便な面もでてきます。



 少子高齢化対策である程度成功しているフランスでは内縁婚が一般的になってますよね。日本でもそろそろこういう内縁婚に不利な規定を見直すべき時期に来ているんじゃないかな?





ほなまた。失礼!
|彡. サッ!!