すっきりわかる家族法道場・・・11.婚約破棄と結納金
|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。
親族・相続法(家族法)はつまらんという声をよく聞くのですが・・・たしかに、
「しょーじき、彼女、彼氏めんどくせー」
「結婚、どうでもいい」
そういった価値観のかたには、まったくもってクソつまらんボールゾーンです。よって、読み飛ばしも自由。ようやく面白くなってくるのは、そうですね・・・
親権や養子とか後見、この辺りからクライマックスの相続まで。こんな感じかな?
我慢です我慢。つまらんからと言ってすっ飛ばすのはご法度です。なぜなら・・・行政書士試験受験生もたくさんこのブログを見てくれてるからです。前置きが長くなりましたが・・・。
よく婚約破棄なんて言葉を耳にします。婚姻自体は、民法上の成人年齢とされる18歳から可能な行為ですが、婚姻の予約行為とも言える婚約は、普通養子に入るかどうか、みずから意思表示できる、あるいは遺言書が書ける15歳を目安に可能と言われています。義務教育修了のタイミングが目安になると考えて下さい。ここで、意思能力が備わったとされると解釈してよいでしょう。
明治の時代に、親から決められた「許婚」などというものが存在しましたが、現在では婚約の効果を持つものではないとされているのが通説です。そして、この婚約が破棄されてしまった場合どうなるか? もはや相手は、この人と結婚する意思を失っているわけなので、強制的に結婚させることは出来なくなります。そして、ここで浮上してくるのは、たとえば相手方が刑務所に収監されたとか、そのような正当な理由もなく破棄した場合の問題。
この場合、破棄された方が費やした必要経費。たとえば、せっかくそろえた家具・調度品(いわゆる嫁入り道具)が無駄になった等の財産被害、さらに精神的な損害(慰謝料)が問題になってきます。破棄した側はこれを賠償する責任が生じ、その責任は債務不履行責任とされるのが通説です。
民法415条1項:債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能である時は、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる・・・後略
ちなみに、この賠償請求権は、権利行使が可能なことを知った時から5年。権利を行使できる時から10年で時効消滅します。(民法166条1項)
次に結納金ですが、こんな因習今でもあるんかいな??? これについては、万が一婚姻が不成立となったのを解除条件(条件不成就をもって失効するというもの)とした贈与であると解するのが通説です。
こうなった場合、基本は当事者同士の協議なのですが、それが纏まらなかった場合は、裁判所を戦場にして、不当利得返還処理の問題として処理されることになります。そして原則的には返還されるべきものとされます。
しかし、婚約解消について責任を負う立場(つまり悪かった方。例えば他の異性に心変わりとか)の側による結納の返還請求は、信義誠実の原則(民法1条2項・3項)に反し、権利の濫用として認められないケースが多いようです。
民法1条2項:権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3項:権利の濫用はこれを許さない。
しかし、この信義誠実の原則(略して”信義則”)と権利の濫用がまた始末が悪い。前にもお話しましたが、「受忍義務」や「努力義務」と同様、人によって温度差が激しいことです。
「信義則」の守備範囲がやたらと広い人は、それをいいことにいわゆる”安牌”扱いされてナメられやすいと言うことです。多少面倒くさい奴と思われても、守備範囲は若干狭く・・・。「鬼と思われても」そう心の中で設定しておく必要がある場合も生じてくるということです。
自分を守るためです。必要な時はココロを鬼にして毅然とした態度でのぞみましょう!
それではまた。失礼しました。
ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!