相続?なにそれ、おいしいの? 27.犬神家の・・・「ハンケツ」ってなあに?
|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。
「相続?なにそれ、おいしいの?」シリーズ27回目/52となります。
前回26回の終わりに、やや思わせぶりに「伏線」などと表現しましたが、実はこういうことでした。第26回で法定相続の基礎を解説したあと、今宵はふたたびマニアックな世界にご招待ー笑
嘉門達夫風に・・・・・・
「この中に一人! 家族法マニアがおる! お前やろ!」
「違います」
「なら”ハンケツ”と聞いて何を思い出すか言うてみい!」
「裁判で出るやつ? 有罪とか無罪とか。勝訴・敗訴とか?」
「違うな。次のお前、言うてみい!」
「尻を半分まくって”半ケツ”です」
「これも違うな・・・」
・・・・・・結局見つからずじまいでした。
では申し上げましょう。ずばり「ハンケツ」と読んで「半血」と書きます。つまり血が半分・・・。どういうこと? いつもの系図は使えないので、こんなものを用意してみました。↓
この図でもうおわかりかと思います。前回の例からやや条件を変えて、兄弟姉妹のみでの相続となったケースです。今回死亡した松子には、配偶者も子も孫も居ないという条件です。当然松子の直系尊属(父母・祖父母)も全滅です。
この場合の兄弟姉妹の関係ですが、図の通り、松子・竹子・梅子は父母を共通(佐兵衛と紙子)としているので、この場合は「全血」の兄弟姉妹です。しかし、静馬の場合は佐兵衛の血しか受け継いでいないため「半血」の兄弟姉妹として扱われます。
同じ兄弟姉妹なのに差別はけしからん。と言いたいところですが、家族法においては、いまだ「血統主義」のような価値観が残存しているのだと言ってもいいでしょう。この場合の遺産分割ですが、
民法900条4号ただし書:ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の二分の一とする。
つまり、静馬は父母の一方(佐兵衛)のみを共通にしているにすぎないため、竹子・梅子の半分しか相続分がないということです。ということで、相続人としては便宜的に0.5人と考えます。
よって、松子の遺産総額が100億円であった場合・・・100億円÷2.5=40億円となり、竹子・梅子はまるまる1人前の40億円ずつを相続し、残り100-40-40=20億円が静馬の相続分となります。これで帳尻は合いますね。というわけで「半血」の兄弟姉妹というお話でした。それではまた。
ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!