すっきりわかる家族法道場・・・6.扶養義務とそれから・・・頭の体操


|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。



 今回は解説は軽めに。それから少し目先を変えて、確認を兼ねたちょっとした頭の体操。この構成で行きたいと思います。この「頭の体操」今後も要所要所でやっていきたいと思います。読んでるだけでは退屈かも知れませんので。



 まず扶養義務ですが、
民法730条:直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。


 ちょっと、ふんわりとした条文ですね。直系すなわち、親子・祖父母に孫と言った、直系の血族間で、相互に扶養義務があるというのは、わかりやすいと思います。困った時はお互い様で何とかしてあげなさいと・・・。直系血族は、同居も別居も関係ありません。




 しかし問題なのは「同居」です。ところが別の条文877条により、直系血族から外れてしまう傍系の兄弟姉妹も、同居の有無に関係なく2親等だから助けてあげなさい。場合によっては3親等の甥姪や伯淑父母も「助けてあげなさい」の範疇に入ってくることになります。


 つまり・・・
民法877条
1項:直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2項:家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。



 ここまで書かれるとわかりやすいですね。つまり730条の規定は、3親等以内か否かをあえて明記せず、「同居しているなら、出来れば助けてやって」と倫理的な価値観を持ち出して、「ふんわり」とした表現で扶養義務の範囲を拡げている。ただし、倫理的・自発的な行動なんて知ったことか!と言う、いわゆる人非人みたいな人種もいるわけですから、そのために、877条で具体的なガイドラインを示している。そう解して問題ないかと思います。


 例えば、親に先立たれた某高齢ニート君。別居であっても兄弟姉妹がいれば、その兄弟姉妹に扶養義務が及ぶということです。法律上は・・・ですね。
 兄弟姉妹・・・きょうだいしまい。これを「ケイテイシマイ」と呼ぶ法学用語がありますが、どうでもいい無駄知識です。でも、弁護士なんかに何かの案件を依頼する際、「ケイテイシマイ」なんて言ったら、いわゆる「通」と見られて、「この依頼者、侮れん・・・」なんて効果もあるかもしれませんので、覚えておいて損はないと思います。



 また話がそれましたが、そういう風に考えると、とんでもない遺言で一族を惑わせた犬神佐兵衛も、途中で行方をくらませた静馬を除いて、ある意味最低限の扶養義務は果たしていた。そういう見方もできますかね。松子・竹子・梅子の三姉妹がどう思っていたかは別として、ですね。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・では、頭の体操といきましょうか。以下の3問。ちょっと考えてみて下さい。答えは○×形式です。


1. AとBが婚姻した。これによりBの父CとAの間に姻族の関係が生ずる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・答え○(婚姻をきっかけにCは義理の父になります。この義理の父母というのは、すなわち姻族を現します)
2. Dの叔父FはDと三親等の関係となる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・答え○(まずDから、その親D’に遡ります。これでまず1。叔父FということはD’と兄弟です。よって、さらにその上の親D’’へと遡ります。これで2。そこからFに降って3となります)
3. Iの弟JはIの直系血族である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・答え×(表を見ればわかりますね。同じ親から生まれても、兄弟姉妹となった段階で枝分かれしてしまいます。よって、直系ではなく傍系となります)


いかがでしたか? 全部解けましたでしょうか?



ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!