すっきりわかる家族法道場・・・5.あんたのお名前なんてぇの? キラキラネームに悪魔ちゃん事件


|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。



 「あんたのお名前なんてぇの?」と、そろばんをジャカジャカ鳴らしながら歌う・・・。
トニー谷の有名なギャグでしたね? 何?知らない? まあ、70年代生まれの私が、ギリ知ってる世代なんでしょうね。


 平成生まれの方にはわからないでしょう。じゃあ月亭可朝は?いい加減にしろ・・・すみません(´・ω・`)ショボーン


 人は生まれて、その名前を手にする・・・。とはいえ、生まれたばかりでは、自分の名前なんて考えられないので、親族から名前を与えられる。すなわち命名されることになります。私の命名者も祖母で、縁起のいい画数に合わせるために調整したらしいです。ここでよく問題になるのが、難読な、いわゆるキラキラネームというやつです。


戸籍法50条1項:子の名前には、常用平易な文字を用いなければならない


 とされていますが、ある程度、命名者の裁量も認められているのが現状。しかし、あまりに難読・非常識なキラキラネームが流行するようになって、ここに来てようやく規制を・・・という動きが出始めたようです。
 そんな中、究極のキラキラ? いや、非常識ネームを、うっかり役所が受け付けてしまった例があります。昔ワイドショーで見たよ! という方もひょっとしたら居られるかも知れませんが、親族・相続法を学ぶ者でこれを知らないのはモグリ・・・。あの有名な「悪魔ちゃん事件」です。



 この「悪魔」という命名。その後、当局により抹消とされたものの、それを不服とした父親が提訴したというものです。この訴えに対し裁判所は、
いったん受理された以上有効であるから、抹消は違法。登録のうえ、法的手続きにしたがって、訂正の手続きをせよ。しかし「悪魔」という名前は命名権の濫用にあたるので、戸籍法違反となる。(東京家裁八王子支部・平成6年1月31日)
 と、判断しました。放置していればイジメの対象になっていた恐れもあるし、子供にとっては一大事です。結局、父親はこれ以上争うことはせず、訴えを取り下げて一件落着となったそうな・・・。
(参考文献『民法7親族・相続第6版』高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著、有斐閣アルマ2020年・『民法判例百選Ⅲ 親族・相続第2版』水野 紀子・大村 敦志編、有斐閣2018年)




 役所も役所、戸籍担当が「こんな名前は受け付けられません。命名権の濫用です」と突っぱねていれば、こんな騒ぎにはならなかったかも知れません。「何で濫用なんだ?」と、別の訴訟になっていたかも知れませんが・・・。
 まあ、もと悪魔ちゃん良かったですね。しかし、親ガチャとでも言うのでしょうか。いつの世もとんでもない親が居たもんだ・・・。家裁の審判では戸籍法違反と判断したのですが、私としては、違法判断の論拠はこれでも良かったのではないかと思います。



民法90条:公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。


 つまり、公の秩序は置いといて、善良な風俗に反するので無効。これ、シンプルでいいと思います。もっとも「命名」が法律行為に当たるのかと言えば、それは違うかも知れないと思います。しかし、その名前を持って行って、出生の届け出をする(戸籍法52条)のは立派な法律行為になるはずです。それにプラスして、命名権の濫用で完璧コンボというわけです。単なる私見に過ぎませんけどね・・・(-ω-;)


さて、お次はどんな話題でいきましょうか? 悩ましいところです・・・。



ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!