すっきりわかる家族法道場 15.夫婦財産制。ヘソクリは不法行為? その弐


|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。




まずは前回記事の終盤から・・・
さて、そうこうしているうちにやりくりが上手な妻B子さん。毎月の家計でコンスタントに黒字を出し、結婚生活5年で300万円を残すに至りました。この場合、本来浮いた300万円は、改めて夫婦共同の収支に帰す(つまり繰越する)べきなのですが、夫A助の金銭感覚がドンブリなのをいいことに、自分専用の隠し口座を開設して入金してしまいました。いわゆるヘソクリですね。
ぶっちゃけ、ちょろまかしたと言うやつです。これが例えば会社の会計だったりすると「業務上横領罪」も問われるような、重大な不法行為になるのですが・・・。さて、こちらの妻B子さんはどうなってしまうのでしょうか?



 (-ω-;) 結論から言えば、B子さんが刑事罰に問われる事は有りません。その根拠となるのは、シリーズ第1回目にも触れた「法は家庭に入らず」という考え方です。簡単に言うとオヤジの財布から、黙って諭吉を一枚拝借しても窃盗罪は成立しないというアレです。
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 ただ、民事的にどうなのかと言うと、これが結構ややこしいことになりそうです。離婚時の財産分与については、基本的に1:1と配分されるのが目安なので、それに従って解説してみましょう。


 普通にバレなければ、B子さんのウハウハ状態。A助氏は事実上100万円しか貰えないと言う気の毒な状況になります。しかし・・・世の中そうは問屋が卸さないというもの。離婚調停の段階で、夫婦双方の全財産をさらけ出して財産分与を決めようということで、調査が行われる事が多いからです。


「とにかく双方、出すもん出せや!」


 そう言われているにも関わらずわざと隠してしまうのは、相手方の心証は勿論、調停員や、果ては裁判官の心証も悪くしてしまいます。


 そして・・・結局バレてしまいました。こうなったら財産分与はやり直しということになります。





 しかし・・・次のケースはどうなるの??
「私の場合、もう離婚して2年経ったからとっくにセーフだわ」・・・??? こんな場合は?? 甘い。甘い。春〇井の甘納豆よりも甘い! 甘茶でカッポレです!



(不法行為による損害賠償)
民法709条:故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。


 これです。夫婦共有財産の誤魔化しには刑事罰はないものの、民法上の不法行為に当たるため、損害賠償請求の対象になります。こうなってくると、民法724条の規定が当てはめられ、離婚後2年とかは関係なし。時効が損害及び加害者(B子)を知ってから3年へと延長されます。極端な話、10年後に気付いた場合でもA助氏は損害賠償請求の裁判を起こせるということです。ただし20年経ってしまうと時効により失効してしまうので要注意です。


 ・・・・・・ということで、日頃から明朗会計を心掛け、夫婦共有の財産については状況を共有しておくに越したことはありません。親族間という甘えは捨てて、やるべきところは公明正大に。これが鉄則と言えそうです。



ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!