すっきりわかる家族法道場 13.貞操義務。こんなの法律で規定しなけりゃならんの?


|ω・) ソーッ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。



シリーズ第13回スタートでございます (´・ω・`)


前回


の積み残しとなりますが、



 まず婚姻によって、


① 夫婦間での契約はいつでも取り消し可能(民法754条)


② 相互の扶助義務


③ 同居義務


④ 貞操義務


 などの義務が生ずるのは、前回紹介した通りですが、今日は④の貞操義務について解説したいと思います。まず種明かしですが、タイトルに上げたように、民法上に明文で定めた規定はありません。しかし、いわゆる浮気・不倫を指す不貞行為は離婚の原因とされる(民法770条1項1号)ものです。


民法770条1項:夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。


一 配偶者に不貞な行為があったとき。


二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。


三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。


四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。


五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。



 さて、ここからですが、ここから先は女性陣の怒りが聞こえてきそうなのを覚悟で書いていきます。戦後改正までの旧民法、いわゆる明治民法の世界では、姦通罪なる刑法犯が存在し(旧刑法183条)、これは女性の浮気・不倫を対象としたものでした。
 この姦通罪が成立、処罰された際には離婚の原因とされていました。不貞行為を働いた妻はともかく、その相手方の男(いわゆる間男)も処罰の対象でした。もっとも、夫の方も
姦淫罪が適用された場合には、離婚原因になるとされていました。


 しかしその姦淫ですが、
暴行や脅迫によって13歳以上の女子を姦淫するか、暴行や脅迫の有無に関係なく13歳未満の女子を姦淫する罪で、3年以上の懲役に処せられた(旧刑法177条)と言った風に、余程ひどい場合のみであり、普通の浮気は「男の甲斐性」とばかりに黙認されることも多かったとか。
 例えば、犬神家の当主であった犬神佐兵衛ですね。彼は正妻が無いのをいいことに、 四人の妾をとっかえひっかえして、松子・竹子・梅子そして静馬と、四人の婚外子をもうけています。



 これは、罪ではなく甲斐性だったんですねぇ。まったく、なんて世の中だい・・・。そして、時代は下って現代。一方の配偶者の浮気相手となった第三者についてですが、原則として慰謝料請求に応じる義務があると解されています。しかし、一方では、よほどの違法性が無い限り免責とする説。また、性に関する自己決定を重んずる立場から、第三者は他方の配偶者に責を負わないという説も存在し、それぞれにせめぎあっています。
 そんなこんなで、他方配偶者は、妻(または夫)の不倫相手(第三者)に対し、特に悪質など、特別な事情が無い限り、離婚に伴う慰謝料請求はできないものと解するのが一般的とされているようです。



姦通罪や姦淫罪がなくなってしまった現在。すこしばかりタガが緩んでしまったのかなあ・・・。そんな気がしないでもありません。



ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!