相続小ネタ集6. 夫婦は一心同体。ならば同じ遺言書で・・・ゴメンナサイそれアウトです!

|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。



世に言う「おしどり夫婦」
でもね。おしどりの雄って毎年冬ごとにパートナーをチェンジするんだって・・・。




 いきなりの脱線ですみません。例えばあるところに、大変仲の良い夫婦がおりました。その夫婦は、どちらが先に逝くかはわからないが、お互いの財産については残った一方は貰わずに、全部いとおしい一人娘に与えましょうなどと話をしていました。


つまり、こういう事ですね。妻が先に逝ってしまった場合も同じです。

「どうせ同じ内容なんじゃし・・・。婆さんや、ここは一枚の遺言書で二人分連署すればええかのう・・・」


 ・・・・・・ごめんなさい。それ法的にアウト。無効なんです。
民法975条:遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
これなんです。なぜダメなのかと言えば、次の条文である程度納得はいくのではないかなと・・・。
民法1022条:遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。


出ました、遺言の撤回です。犬神家のシリーズでも過去に出ています。


 何故ダメなのか? 同一の証書による遺言によって束縛が発生してしまうからです。同一証書の遺言が仮に有効だったとします。先に例えば夫が死亡した場合、夫の遺言内容として「一人娘に遺産の全てを与える」という趣旨が通ります。これはこれで良いとして、残された方の妻・・・実は遺言の内容を変えたいなと、気が変わっていました。例えば、
「あの時はそう書いちゃったけど、自分の遺産は娘に半分、残りは慈善団体に寄付したい」こんな感じに。


 こうなってしまうと大変です。一旦有効に成立した夫の遺言書を再度引っ張り出して撤回をしなければなりません。これはとてもややこしいです。なので遺言書は一人当たり一通ずつ。複数人が一通の遺言書に連署するのは、夫婦と言えど各人の独立という観点から見て好ましくないということです。
 もっとも、一人娘に全財産を譲るという全く同一な趣旨の遺言でも、別々の紙に書いておけば独立性も保たれるのでOKということになります。では、一枚の紙で表は夫の分、裏面は妻の分。これはどう?
 すみません。そういう例は聞いたことがありません。知る限りそういう判例も無いようです。・・・そういう遺言書を作って法務局に預けに行っても、多分受理して貰えないんじゃないかなと思います。
 ちなみに、おそらくミシン目でも入っていたんでしょうかね? 簡単に切り離せる遺言書で、内容の方もそれほど関連性がないと言った場合に有効とされた判例はあるようです。(最高裁判決・H5.10.19)







ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!