相続?なにそれ、おいしいの? 3.遺言の天敵? 遺留分。
|ω・) ソーッ
皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。
相続?なにそれ、おいしいの?シリーズ
第3回目となります。
さっそく小説本が届きました。横溝正史『犬神家の一族』(KADOKAWA)「犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5」 横溝 正史[角川文庫] - KADOKAWA
事件のきっかけは、昭和二十X年二月(小説ではこのようにぼやかしています。なんで?)信州の大財閥の総帥、犬神佐兵衛翁の死去です。ここから凄惨な連続殺人が始まっていくのですが、昭和二十X年という曖昧な設定がなんともいやらしい。
もしも昭和二十二年二月とか二十一年二月であれば、法律の施行前ですから以下のくだりで紹介する第九条の遺留分の規定はまだ適用されません。なので連続殺人という流れになるのかな? それならまあいいか。
(ちなみに戦後改正の前ですが、事業も含む「犬神家」としての家の財産は家督相続。佐兵衛翁名義の個人財産は遺族での相続となり、遺留分もあるという二本立てのややこしい制度でした。佐兵衛翁個人名義の財産は意外と持っていなかったのかも知れません)
ですが、昭和二十三年以降であれば、事業を含む家の財産もひっくるめた上での遺留分という制度が発効しているので、結構たくさん貰えるはずです。リスクを冒して殺人に手を染める理由がちょっと弱くなってしまうんですね。
つまりこういう事なのです。日本国憲法の制定が先走ってしまったために、民法の改正作業が間に合いませんでした。と言うわけで、本格的な改正は後付けにして、それまでのつなぎとして、
「日本国憲法施行に伴う民法の応急措置に関する件」という法律が、日本国憲法の施行に合わせて発効しました。昭和22(1947)年5月3日。そのなかで、
第7条:家督相続に関する規定はこれを適用しない。
第8条:直系卑属および直系尊属及び兄弟姉妹は、その順位により相続人となる。2 配偶者は常に相続人となるものとし・・・略
第9条:兄弟姉妹以外の相続人の遺留分の額は、左の規定に従う・・・略
このように規定されることになりました。
遺留分というのは、ざっくり言うと最低保障的に遺産の一部がもらえる制度です。どんな「遺言」が来ても、「最低限(遺留分)はよこしなさい」と言える権利です。この遺留分というのが、つまり遺言の天敵のような存在なのです。
これから、小説『犬神家の一族』のストーリーを随時まじえながらの解説になると思いますが、今後の伏線になりそうなので、まずは触れておきました。今後のためにザーッと登場人物の関係図を作ってみました。見にくいと思いますので、拡大で見て頂ければ・・・。↓
×印は死亡です。今後はストーリーの展開に合わせて、そのつど解説ということになりそうなので、テーマがあっちに飛んだり、こっちに飛んだりになりそうです。今後の伏線になりそうなので、まずは触れておきました。序章から少し読んでみましたが、「おいおい、その遺言大丈夫?」という所が早速出てきました。それにしてもマジ、これって卒論よりヤバそう。半年とか一年とかの連載物になってしまうかも知れません。こわ・・・w
それではまた。失礼しました。
|彡. サッ!!