相続?なにそれ、おいしいの? 28.魔法の相続?・・・限定承認

|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。



 足を止め、時間を掛けて読んで貰えるコンテンツを目指して。秒殺で「いいね」だけ付けやがって・・・とか読者さんを責めるのは、お門違いで自身の力不足を証明するようなもの。私はそう思っています。それだけの魅力がまだ無いってことですからね。


「相続」?なにそれ、おいしいの?」のシリーズ28回目/52となります。今日のお題は、ひょっとしたら良心が痛むかもしれない不思議な相続について。



 図のとおり、お父さんが亡くなって、その妻と子二人が残されたという事例を使ってみます。



条件:夫の財産は1000万円と仮定します。しかしその裏で1500万円の借金が未返済でした


 実は相続というものは、いつでも財産相続で(゚д゚)ウマーというわけではありません。故人(被相続人)の権利・義務の両方を相続人が継承することになります。この場合、1000万の財産(これを積極財産と呼びます)と1500万の負債(消極財産といいます)がある状態。
 結局、積極財産-消極財産=-500万となり、相続人である3人はそれぞれ、妻500÷2=250万、子二人は500÷2÷2=125万ずつのマイナス分をかぶることになります。


「財産どころか借金押し付けられる? そんな殺生な!」


 でも大丈夫。こういう時は相続放棄(民法915条1項)という手があります。積極財産・消極財産の両方を一切合切引き継がないと、その旨家庭裁判所に申し立てれば良いのです。遺産はもらえないものの、借金からは解放されるということです。
民法915条1項:相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない・・・以下略


 ここで、放棄という言葉のほかに「単純若しくは限定の承認」という言葉が出てきました。これは何? 単純承認とはシンプルに、被相続人の積極財産・消極財産すべて引き受けますということ。では、限定承認とは? 実はこれ、とんでもない魔法の相続手法なのです。たとえば、よくよく調べたら負債は980万で済むかもしれない。でも、ちょっと足が出て1040万になりそうな試算もある。さてどうしたものか・・・? こんな時こそ限定承認の出番です。つまり・・・
「どっちになるかわかんねーけど。プラスが出たら受け取ります」

 こんな都合のいいのあり? ありなんです。これが限定承認(922条)というやつ。ただし、この限定承認をするには、共同相続人全員(3人全員)の同意(923条)がなくてはいけません。
 なお、相続の対象となる被相続人の権利ですが、その人固有の権利(一身専属権といいます)は入りません。たとえば、被相続人本人の生活保護受給権などがあります。年金の受給権もそうですね・・・しかし、そうであるが故にニートのお子さんが、自宅でひっそり亡くなった親御さんのご遺体を隠して共に長期間過ごしていた・・・そんな悲しい事件の背景にもなっていたりします。これはこれで何か対策がないと・・・ですね。



ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!