相続?なにそれ、おいしいの? 16.遺言書が二通出てきたら・・・?


|ω・) ソーッ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。


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 さて、犬神佐兵衛の遺言書・・・数回に分けて紹介しましたが、ほんとうにとんでもない遺言でしたね。その後小説の流れで行けば、この遺言をきっかけに、凄惨な連続殺人の発生へとつながっていくわけですが、これはあくまで小説『犬神家の一族』での話。
 まがまがしい佐兵衛の遺言、その内容については、以下の過去記事で再度確認してみられることをおすすめします。






 現実世界でたまにあるのが、一回目に書いた遺言書の内容について、あとから冷静に考えた結果、これは良くないと思って、二通目の遺言書をしたためたというケースです。
 たとえば顧問弁護士・古舘に指南されながら、一通目の遺言をしたためて預けた。この段階で、聡明な佐兵衛はどんな要領で遺言書を書けば良いのか、コツをつかみ、一通目の遺言書は、内容的にあまりにも酷なものかも知れない・・・、などと思い返して二通目をしたためた。そして、いつか古舘弁護士の顔を見た際に、一通目のものと差し替えてもらおうと思って、自室に保管していたのですが、それを失念したまま月日が過ぎてしまった。
 認知症患者でなくても、多少もの忘れがひどくなったな・・・というレベルの御老人なら、あり得ない話でもありません。


 この場合の扱いですが、二通目をしたためた時に意思能力を失っていたなど、
↓ 前回の記事

このような場合は別ですが、後の日付で書かれた遺言書が優先されます。これを遺言の撤回と呼びます。撤回=取消と思われる方も多いのではないかと思いますが、撤回は、一度有効に成立した法律行為を、将来に向けて効力を消す行為です。これに対して、取消は初めからなかった事にしてしまう点で微妙に違います。これも法律用語の無駄知識・・・。



民法1022条:遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
1023条1項:前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2項:前項(1項)の規定は遺言が遺言後の(財産の)生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。


 つまり、一度は珠世に全財産をと思ったけど、やっぱり半額に直しておこうという場合などですね。「全財産あげます」と「やっぱり半額にします」は明らかに抵触しますから、前の遺言、つまり「全財産」は撤回しますということになります。
 簡単に言うとこんな事なんですが、簡単な事をわざと難しく書く・・・これが条文の文章作法になっています。条文に早い話、後勝ちですよと書いてくれれば解りやすいのではないかと思いますが、あまり単純明快に書きすぎてしまうと、幅広く条文を解釈できなくなってしまう弊害も出てくるかも知れない。そういう感じで、言葉は悪いですが、”いろんなルート”を設けるために、あえて難解な文体を使用している”。というところもあるのかもしれません。




ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!