相続?なにそれ、おいしいの? 30.佐兵衛の葬式代は誰がかぶる?
|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。
今日は実務系の話になりますが、これも実際の相続場面で重要になってくる事項ですから、触れておくことにしたいと思います。
愛する家族が亡くなって(犬神家の場合は??ですが) 悲しみにくれる間もなく葬儀の手配やらなんやかんやと・・・。気が付いたら纏まったお金が手元になくて、葬式代にも困ることに。さらに酷い場合は当面の生活資金も心もとない。
そういう事態って、あるあるですよね。近年の葬儀屋さんもそういったFP的な知識を持った職員を育成したりして、この手の相談を聞いてくれたり、アドバイスをくれたりと言ったこともあるかも知れません。FPの知識を持っていれば「ちょっとしたアドバイスは」できます。
それはさておき、アカデミックな法律学の世界でどのように言われているのかと言えば・・・。学説・判例と諸説ある(大別して3種の説)ようです。
被相続人の葬祭費用について、
① 相続人間で分割して負担すべき説(東京高裁決定昭和30.9.5)
ただ、犬神家の場合、戦地から佐清が戻るまで遺言書の内容は「ブラックボックス」でした。この場合、おそらく「推定相続人」たる松子・竹子・梅子で一旦たてかえて、「珠世に全財産を与える」という遺言が発表後、あらためて、三姉妹が唯一の相続人である珠世に請求することになるでしょう。
② 喪主の負担とする説(東京地裁判決昭和61.1.28)
この場合は長女松子が一旦全額かぶって、遺言公開後に珠世に請求となることでしょう。ただ、喪主負担とされているので、珠世に支払い義務があるかどうか? ここは話し合いしかないのかな? 相続人でもない松子に全額かぶらせるのはあまりにも気の毒なので、道義的に珠世にも支払い義務は生ずると考えて良いと思います。
③ 相続財産からの負担とするべき説(東京地裁判決昭和59.7.12)
佐兵衛の預金口座から相当額を引き出し、葬儀代に充てる、そして残った分を相続遺産として扱う。なお、各参列者から頂く「香典」ですが、葬儀代ー香典による補填=負担額と考えるのが一般的のようですね。長らく②の「喪主負担説」が支配的だったのですが、近年少し風向きが変わったようです。
つまり、③の方法について、援護射撃とも言えるような制度が設けられています。以下のHPを参考にしてください。
遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内チラシ (zenginkyo.or.jp)(一般社団法人 全国銀行協会)
比較的低額(一つの金融機関で上限150万円)であれば、家庭裁判所の判断を仰がずに引き出しが可能な制度です。このような制度が創設されたことを見てみると、現在では③の説がかなり有力視されているようです。それが葬儀代だけでなく、遺族の当面の暮らし向きに充当するのも、常識的な範囲内でOKとも言えます。
あるいは、あくまでも建前は①②だけど、③の方法も使いやすくしましょうという趣旨なのかもしれませんね。
ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!