|ω･) ｿｰｯ･･･　皆さん、ご機嫌よろしゅうに。

　当ブログ･･･本日より平常運転に戻します。改めまして謹賀新年。今日が三が日最後ですので、このスタイルの入りは一応最後になりますかね？　正式には松の内までが謹賀新年なんでしょうが。世間でいきなり暗い出来事が連発して落ち込んで居る時にこそ、エイヤッと思い切って平常運転に戻すのも大事なはずです。

前回の記事

　条件は前回と同様としますが、おさらい。佐兵衛死亡時の遺産は総額6億円と仮定。例の不吉かつ禍々しい遺言書は存在せず、三姉妹と佐兵衛の関係も険悪でなく、普通の状態で法定相続となった。さらに、繰り返しになりますが、松子・竹子・梅子それぞれの夫は、結婚時に犬神姓に改めただけのいわゆる「婿どの」に過ぎず、佐兵衛との養子縁組はされていません。
　したがって、松子・竹子・梅子の相続分はそれぞれ2億円ということになります。これはすでにご存じの方も多いと思います。ただ、問題となるのは、例えば松子がなんらかの特別な立場であった場合です。

　ここで、条件追加：神戸・東京に移り住んで、ほとんど信州の犬神本家に顔を出さなかった竹子と梅子。そんな彼女らとは裏腹に、松子は晩年のほとんどを病に臥せった佐兵衛に対し、献身的に介護して見送った。その貢献額は0.3億円（3000万円）と推定される。
貢献額について、実務的には、松子の介護技量相当の介護職員の平均賃金に、費やした時間を掛けて･･･という感じでの評価になるかと思います。

民法904条の二の1項
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

　条文全部手打ち･･･。あーしんどい。老眼入っちゃってますから、眼鏡を上下交互にずらしながらの作業です。でもね。こうやって苦労して手打ちするのも、いい復習になるもんです。しかし、なんでもかんでも貨幣価値に換算して、家族というものに当て嵌めるというのもいかがなものか？　とは思いますがそこはそれ。家族と言えども法律が絡む場面だと、ビジネスライクな感じでやるしかない場面も出てくるというものです。
　佐兵衛のビジネス立ち上げに付き合って、会社を巨大化するのに貢献した（労務の提供）、あるいは出資をして助けてあげた（財産の給付）などがありますが、松子が該当するのは（療養看護）ですね。つまり、療養看護に貢献することで、佐兵衛の財産流出を防いだという功績です。

　特養などに入れたり、ヘルパーを呼んだりすれば、当然佐兵衛のお金が外部に流出してしまう所を、松子が献身的な看護で防いだ。つまり財産の維持に「特別の寄与」をしたということです。
　ただし、寄与と言っても通常の家族ならばこれくらいはやってあげるであろうという、常識的な範囲を超越していなければ認められにくいようです。それが認められた場合、松子は0.3億円相当の「特別寄与」を、遺産分割協議の場で主張できます。

　つまり、佐兵衛の遺産総額を･･･
6億円－0.3億円＝5.7億円で計算するように求めることができます。すると松子・竹子・梅子それぞれの相続分は5.7億円÷3＝1.9億円。したがって竹子・梅子の相続分は1.9億円のままで、松子は1.9+0.3＝2.2億円の相続分を獲得できます。
「当然でしょ。死ぬほどお父様の看病を人生棒に振るぐらい頑張ったんですもの！　どや！」ということです。

　ただ、あくまでも遺産分割協議という話し合いの場で主張できるに過ぎず、松子の思惑通りに協議が進まない可能性もあります。3000万円の寄与を主張しているのに、2400万円に値切られたり･･･です。この場合松子が不服であれば、家庭裁判所に申し立てて、調停・審判に持ち込んで決着をつけることが可能です。
　これが特別寄与という制度の概要になります。あくまでも相続人の中に特別寄与者がいたケースですが、相続人でもない親族が松子と同様の寄与をした場合、それでは報われない。というケースもあります。この場合ですが、最近の法改正で、新たに1050条という規定が設けられ、救済を図るという取り組みもあります。
　

これに関連しまして、はてなブログで仲良くして頂いている相続コンサルタントid:egaosouzoku氏の記事を紹介して終わりにしたいと思います。相続現場の生々しい事例です。egaosouzoku.hateblo.jp

ほなまた！　失礼！
|彡.　ｻｯ!!