相続小ネタ集 44.相続廃除成功しました(ある判例)
|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。
前回は相続廃除に失敗した判例をあげましたが、今日は一転、成功した例を見てみたいと思います。結構悪質というか、エグい感じもするかも知れませんので、閲覧注意です。それほどでもないかw
判例(東京高裁平成4年12月11日決定)
娘Yは子供のころから万引きなどの非行に明け暮れ、しつけ目的でスイスに留学に出されるものの、ここでも問題行動を起こして帰国。さらに、高校生時代には鑑別所送致まで受けた。
18歳になった頃からキャバクラ勤めを始め、そこで反社の男Aと知り合い結婚に至った。父親Xらは結婚に反対し「重大な侮辱」と「著しい非行」に当たるとして、家庭裁判所に訴えたが認められなかった。Yはそれをいいことに、反社の男Aの父親及びXの連名で勝手に披露宴の招待状を知り合い等にばら撒いた。
あたかもXが反社とつながりを持っているかのような印象を、積極的に植え付けた行為に対し、裁判所は重大な侮辱と名誉棄損を認め、一転Xの請求を認めて相続廃除が成立した。
判例の要約・引用元
青竹美佳・金子敬明・幡野弘樹著『民法⑤親族・相続判例30』(有斐閣2017年)
参考に相続廃除の要件についての条文です ↓
(条文)民法892条
遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を与えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
誰と結婚しようがそれは娘の自由なので、相手が反社であってもそれはセーフ。ただ、父親=反社と思わせるような演出は一発アウトと断じたということになります。さらに、これまでも散々しつけに苦労してきたこと、そんな娘のダメダメ振りに対し、もはや親に許す気持ちが微塵も無かったという事情も加わりました。
これは、現代社会で成立した、昔風に言えば「勘当」ということになりますね。さて、廃除成功例と失敗例を分けて解説しましたが、大体のイメージはつきましたでしょうか?
骨肉の愛想劇を捌く家裁の人も大変なんですねぇ・・・
ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!