すっきりわかる家族法道場 21. 破綻主義と離婚の効果

|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。



 離婚のパートの終わりまで来ましたよ。もう一息! 例えば不倫などがきっかけで離婚に至る場合、どちらから切り出すか?俗に言う「先に動いた方が負け」
 こんな状態だとなかなか切り出せないのが現実。これを打開しようとしてまず明治民法で採用されたのが「有責主義」というもの。


 浮気などをされた方(いわば被害者)に、有責配偶者(悪い方)を糾弾する機会を与えるという発想からきています。これがだんだんと実際の破綻状態を重視する考え方に変わって来て、今の「破綻主義」に至るという流れ。
 どちらが悪いか? よりも、どのぐらい破綻しているかを優先という考え方になります。よって有責配偶者側からの離婚請求もありということになります。では、離婚によってどのような効果が生まれるのか? ざっと整理してみます。


1. 再婚の自由。離婚することにより、再婚が出来ます。当たり前のことですが。ちなみに女性の場合、生物学的な理由(この子誰の子?問題)から離婚後100日の再婚禁止期間が設けられていましたが、2022年の法改正でその規制もなくなりました。極端な話、離婚成立の翌日に婚姻届けを出しに行ってもOKということになります。


2. 姓の変更。婚姻によって改姓していた夫婦の一方は、自動的に旧姓に復帰します。ただし、離婚の日から三か月以内に届け出をすると、婚姻中の姓を引き続き名乗ることができます。その間に出来た子は原則、出生時の姓を継続することになりますが、家裁の許可を得ることで一方の姓に改めることもできます。


3. 姻族関係の終了。離婚の場合は自動的に姻族(女性側から見れば姑や舅と言った人たち)関係が終了します。死別の場合は自然終了しないので別途「姻族関係終了届」が必要になります。この辺は要注意です。


4. 財産分与。ここが一番揉めるポイント。特に厚生年金。離婚時に最大1/2の分割を請求できます。そこで感情がもつれやすいのは第3号被保険者(専業主婦・主夫)の問題。3号被保険者の保険料は一方の2号被保険者(勤め人)が一緒に納めるという建前ですが、3号被保険者は実は一円も払っていない。2号さんから見れば「俺(私)の保険料にぶら下がってただけの奴に半分も持って行かれるのか? あんまりじゃないか!」という気分になってしまうからです。


5. 子の養育。未成年の子が居た場合、いずれかが親権者となって養育しなければなりません。ただし、親権を喪失した方は何もないのかと言えばそうでもない。子供との面会交流権や養育費支払いの権利義務が生じます。
5.の養育費について、親権を喪失した方が養育費の支払いから逃げ回るという事象がよく発生します。これを防ぐため、共同親権というものを設定して逃げられないようにしようという構想があるようでうが、いまのところ検討段階に過ぎず、今後の動向が注目されます。
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ということで、節目節目の練習問題。
○×で全5問です。
① 夫婦間で協議が調っていれば裁判所の判決がなくとも離婚は可。
・・・・・・・・・〇協議離婚が最優先で、裁判離婚はなるべくしたくない最終決戦です。
② 夫婦が婚姻中に子をもうけた。離婚後双方が共同して親権を行使することになる。
・・・・・・・・・×共同親権はまだ検討段階です。
③ Aの生死が3年間不明の時、配偶者Bは離婚請求できる。
・・・・・・・・・〇失踪宣告とは別になるので混同しないように注意。
④ 夫婦ABの離婚後にAが死亡。この場合BはAの相続人となる。
・・・・・・・・・×離婚配偶者に相続権はありません。死別配偶者だと相続権が発生します。
⑤ 婚姻関係破綻の有責配偶者からの離婚請求は容認されない。
・・・・・・・・・×間違えた人は本記事を復習してください。有責主義から時代は破綻主義です。



ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!