著作権こぼれ話・・・14.こんな時の著作権は? 猫弾いちゃったからの・・・

|ω・) ソーッ・・・ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。




いきなりですが、著作権もしものコーナー・・・。もしもこんな事例があったら??



 ここ数年ヒット曲に恵まれず、自他ともに認めるスランプ状態になってしまった作曲家のAさん。同じ作曲家で友人のBさんから、たまには気晴らしでも・・・とホームパーティーに招待されました。そこにはたいそう可愛らしい猫のクロちゃんが居ました。



 ところがこのクロちゃん、かなりのお転婆さんで、Bさんのピアノに乗っては適当に歩き回って遊ぶ癖があったそうな。パーティーの日も御多分にもれず・・・鍵盤の上を歩いては
「ポロンポロン♪ ポロリン♪」
と遊んでおりましたが、ここでAさんは閃きを得ました。パーティーが終わると家に直行して一曲書き上げましたが・・・これが思いのほか大ヒット! なんとその年のレコード大賞を受賞してしまったのです。


 後日Bさんは言いました「A君、うちの猫が君にインスピレーションを与えたんだろ? リズムもコード進行も、あの時のフレーズをそのまま使ってるじゃないか。ということは、あの曲の著作権は僕と山分けにしないとおかしいよね?」
 さて、AさんはBさんの申し出を断ることができるでしょうか?




・・・・・・・・・答え:断ることができます


 そもそも、著作権とは
著作権法第2条1項
一号:著作物(は)思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。


 ・・・と定義されています。たまたま猫が歩いて音符数個分を弾いた?からと言って、それが音楽に属するものとは考えにくいし、思想や感情の表現とは考えにくいからです。さらに


第6条
著作物は、次の各号に該当するものに限り、この法律による保護を受ける。
一号:日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ)の著作物


 ・・・ネコは国民ですか? 「ネコは宗教だ!ヽ(`Д´#)ノ」と主張する勢力はありますが・・・そこはまあ置いといて。あくまでも人(法人もOK)に認められる権利ですので、Bさんの主張は当たらないことになります。
 さらに、仮にネコちゃんでなく、人が気まぐれに音符数個分「ポロンポロン♪」とやったやつからインスピレーションを得たとしても、それはあくまでもアイデアの流用に過ぎないのであって、著作物の盗用にはなりにくいと考えられます。このことは、当シリーズの第一回でも触れています。


参考




 結論、どうあがこうがBさんが著作権を主張するのは無理だと思われます。実は、この「人であるか人でないのか」・・・の部分については、特許権でも同様の考え方が採用されています。こちらの事例はネコちゃんによる作曲ではなくて、AIによる発明です。やはり人ではないから著作権も特許権も与えられない。そういうことになります。



つい最近出た判例です。非常に参考になりますので是非!





ネコちゃんの作曲ですか・・・ばかばかしいw
まあ、こういうくだらん事を考えるのも・・・良い頭の体操になります。



ほなまた! 失礼!
|彡. サッ!!